Publication
ホスピスケアと在宅ケア 19, 3, 344 - 350 (2011)
ホスピス病棟に入院している夫との関わりにおいて生じる妻の思いと身体疲労
Author
楠葉 洋子, 黒田 裕美, 山口 ちひろ, 橋爪 可織, 山口 智美, 山川 裕子, 浦田 秀子
Category
Original Research
Abstract
ホスピス病棟に入院している夫との関わりにおいて生じる妻の思いと身体疲労について、2事例を対象に、半構成的面接及びCFSI-18を用いて調査した。コミュニケーションが困難な夫の妻は、「自宅で看るのは限界だった」と感じている一方で、「自宅で看たかった」という葛藤もあった。夫の反応がないことで「いるだけで疲れる」という身体疲労にまで繋がっていた。一方、コミュニケーションが可能な夫の妻は、夫からの感謝やねぎらいの言葉があり、人生を回顧することができ夫婦の絆を強めていた。経口摂取できないことは「つらい」という否定的な感情に、夫が食べたいものを用意することができることは妻の喜びに繋がっていた。2事例ともに「よく肩がこる」「疲れやすい」などの身体疲労が生じていた。死を意識した関わりの中で妻が良い看取りを行うためには、夫の食事摂取やコミュニケーションが可能か否かに着目し、妻の身体疲労も視野に入れた支援をする必要性が示唆された。(著者抄録)