Publication
長崎医学会雑誌 94, 1, 53 - 57 (2019)
三心房心を合併した直腸癌手術の1例
Author
持永 浩史, 赤間 史隆, 柴崎 信一, 岡 秀樹, 矢加部 和明, 澤井 照光
Category
Original Research
Abstract
症例は47歳男性。腹痛と軟便を自覚し当院受診。精査にて直腸癌と診断された。術前検査において、胸部X線検査で軽度心拡大を認めたため、心臓超音波検査を施行したところ、左房内に隔壁様構造物を認め三心房心が疑われた。心臓造影CTで三心房心の可能性が高いと判断され、経食道超音波検査にて三心房心の診断に至った。左心房内に隔壁は有するものの血行動態には問題を認めず、全身麻酔耐術可能と判断し直腸癌手術を施行した。周術期合併症生じることなく術後15日目に退院となった。無症候性の三心房心は非常に稀な疾患であり、塞栓症などの致命的な術後合併症を生じる可能性も高まることから、術前検査において心臓関連検査の異常を認めた場合は、積極的に心臓超音波検査による安全性の評価を行うべきである。(著者抄録)