Publication

第40回日本看護科学学会学術集会 (2020)
急性期病床看護師におけるワーク・ライフ・バランスの理想と現実のギャップとQOLの関連: 横断的研究

Author

田中準一,⻑島菜々子,古賀みなみ,⿊田裕美

Category

Oral / Poster Presentation / symposium

Abstract

【目的】 家族との同居の有無に着目し, 急性期病床看護師におけるワーク・ライフ・バランス(WLB)の理想と現実のギャッ プ(gap)の現状およびWLB の理想と現実のgap とQOL との関連を明らかにすること. 【方法】 急性期病床に勤務する353 名の看護師を対象に,無記名自記式質問紙調査を実施した.調査項目は,基本属性, WLB の理想と現実,QOL,各種満足度,就業状況であった.QOL の測定には日本語版WHOQOL26 を使用 し,下位尺度ごとに合計し,中央値を算出した.「WLB の理想と現実」では,過去1 ヶ月間における,仕事,家 庭,私生活(睡眠を除く)に費やした時間の割合を確認し,現実のWLB とした(合計を10 として回答).同様に, WLB に費やす理想的な時間の割合を確認した.現実と理想のWLB を用いて,現実の数値から理想の数値を引き, work gap,family gap,private gap を算出し,その絶対値の合計をWLB gap とした.本研究は,長崎大学大 学院医歯薬学総合研究科倫理委員会の承認を得て実施した(許可番号: 19071110). 【結果】 231 名(有効回答率: 65.4%)を分析対象とした.一人暮らしの看護師と家族と同居する看護師で比較すると, work gap(+3 vs +2, p=.038),family gap(-1 vs 0, p=.003),private gap(-1 vs -1, p=.658),WLB gap(4 vs 4, p=.088)となった.看護師のQOL はWLB gap の増加に伴って有意に低下した(p=.001). 【考察】 一人暮らしの看護師では,仕事への負荷が大きかった.一方,家族と同居する看護師は,仕事に負荷があるものの 私生活を諦めて家庭を守っている現状が示された.WLB gap は看護師のQOL と関連しており,WLB gap を埋 めるさらなる取り組みの必要性が示唆された. 【結論】 看護師のQOL を向上させるためにWLB gap を捉えることが重要である.一人暮らしの看護師も含め,ワークシェ アリングや時短勤務などの多様な働き方を推進することで,看護師のWLB とQOL を改善することが可能となる.